衝動性、パ-ソナリティ-障害(情緒の不安定さ)

一人での解決は難しいので、学校の先生、保健師、カウンセラ-、医師にご相談ください。

推測される発症因子

生育歴:両親の離婚、家庭内暴力、家庭の経済的困窮、両親の自由奔放な育て方(何をしても許される)、学校での苛め・不当評価、異性関係 など。

推測される患者さまの心の状態

その経過で成長し、自分が生まれて自然に芽生える、両親や友人・様々な人達から心から愛されているという想いがあります。これらの感情が満たされないため、自分が悪いからなんだ、これからもずっと誰からも愛されないなら 生き続ける意味が無いと→見捨てられ感情に支配されてしまいます(自分自身では気付いていない場合も多いです)

日常の気分や症状

情緒不安定さは特別な友人や特別な異性には現しても、他の人達にはなるべく現さないようにしています。何故なら、上記に記載したように、自分を責めて自分を過小評価しているために、慢性的な落ち込み気分と意欲の低下に苦しみ他の人達と接したく無いので自閉傾向に陥り、自分を責める感情に支配されていると思われるからです。

社会生活と衝動性・衝動行為

学校やアルバイト、社会に出て多くの人達と接することで、心の内に秘めた劣等感や今までの人間不信からの対人恐怖が明瞭に現れるので、自分自身でコントロ-ル出来ないストレスが溜まり、一気に噴出し発散する行為に到ると推測されます。

例えば、不登校、欠勤、自傷他害行為(過食・嘔吐、リスト・カット、自分を殴打、壁に頭をぶつける、同居する異性と殴り合う、買い物依存、アルコ-ル・薬物大量服用、繰り返す不幸な異性関係、ギャンブル依存、覚醒剤中毒)など・・・その結果パニック発作を発症したり、希死念慮から自殺に到る場合も報告されています。

経過と予後と治療

以前の米国の報告ではパ-ソナリティ障害の境界型(様々な分類がありますので、上記に述べた以外では反社会性パ-ソナリティ-障害と共に犯罪や措置入院に関わる疾患です)は女性4:男性1の比率とされていました。しかしこの報告は、精神科・心療内科に受診された比率で、男性は受診されないで犯罪に関わっている可能性も推定されます。

経過および予後は現在まで統計学的に証明された報告はありませんが、40代ころから社会との接触の中で衝動性が和らいでいく傾向にあるようです。 しかし危惧されるのはアルコ-ル依存症の親に育てられた子供たちは統計学的有意差をもってアルコ-ル依存に陥りやすいとの報告があることです。今後の患者さまの子供たちを孤立させない教育・福祉・医療からの積極的な社会的支援体制が必要とされると思われます。

治療については薬物療法では現在、日本においてはパ-ソナリティ-障害に保険適用となる薬剤はありません。衝動性を抑えるために各精神科・心療内科の医療機関でも慎重に治療を行ない、川崎メンタル・クリニックにおいても極力、精神療法と併用し、慢性的な抑うつ気分と衝動性を抑えるように努めています。薬物療法に偏り過ぎると、一気に溜め込んだ薬物大量服用に到りかねないからです。

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