以前の米国の報告ではパ-ソナリティ障害の境界型(様々な分類がありますので、上記に述べた以外では反社会性パ-ソナリティ-障害と共に犯罪や措置入院に関わる疾患です)は女性4:男性1の比率とされていました。しかしこの報告は、精神科・心療内科に受診された比率で、男性は受診されないで犯罪に関わっている可能性も推定されます。
経過および予後は現在まで統計学的に証明された報告はありませんが、40代ころから社会との接触の中で衝動性が和らいでいく傾向にあるようです。 しかし危惧されるのはアルコ-ル依存症の親に育てられた子供たちは統計学的有意差をもってアルコ-ル依存に陥りやすいとの報告があることです。今後の患者さまの子供たちを孤立させない教育・福祉・医療からの積極的な社会的支援体制が必要とされると思われます。
治療については薬物療法では現在、日本においてはパ-ソナリティ-障害に保険適用となる薬剤はありません。衝動性を抑えるために各精神科・心療内科の医療機関でも慎重に治療を行ない、川崎メンタル・クリニックにおいても極力、精神療法と併用し、慢性的な抑うつ気分と衝動性を抑えるように努めています。薬物療法に偏り過ぎると、一気に溜め込んだ薬物大量服用に到りかねないからです。