引きこもりからの復活

中等症うつ病エピソード

本件は、患者様より掲載許可および承諾をいただいています。

【初診時主訴】
引きこもり状態をどうにかしたい。人見知りも治したい。
【家族歴】
3名同胞中第3子末子、独身、両親と5人同居。
【既往歴】
特記すべき事なし。
【生育・生活歴】
高校は1か月で中退し、スーパーでのアルバイトも1日で辞め、引きこもるようになった。現在は無職。
【病前性格】
人前で緊張し易く、内向的。 
【現病歴】
外に出ると人前で緊張して冷や汗をかいたり、最近は気分が落ち込も日々が続き、無気力で好きなパソコンも全くしなくなり、死にたいと思う様にもなり、当院を受診した。
【初診時所見】
意思疎通性も保たれ、理解力も良好で、精神遅滞や発達障害などは認めなかった。不安や不眠、自責感、感情失禁を伴う抑うつ気分を訴え、無気力感、興味や喜びの低下、希死念慮なども訴えた。社会に出て働きたい。趣味の釣りやパソコンが楽しめるようになりたいなども訴えた。
【診断・鑑別診断】
うつ病エピソードの全般基準を満たし、B項目の(1)(2)の2項目とC項目の(1)(2)(3)(6)で診断基準の6項目を満たしており、中等症うつ病エピソードと診断した。
気分変調症とは持続期間や重篤度が異なり、適応障害とはストレス因の発症時期・程度の違いから、これらの疾患は除外した。
【治療方針、治療経過】
初診時に薬物治療により、抑うつ気分の改善を目指します。症状が安定したら当院精神科デイ・ケアで人前での緊張感を少しずつ和らげる治療方針です。週1回の外来面接の継続が必要である旨を説明し、本人の同意を得て治療を開始した。薬物治療には意欲の向上を目指し
SNRI(セロトニン+ノルアドレナリン)のデュロキセチン塩酸塩を選択した。デュロキセチン塩酸塩20mg小生の経験から午後1時に開始し、毎週20mgずつ増量し、3週目から60mgで固定維持した。開始4週目頃から外来面接で“少しずつ気分は楽なって来ています”述べるようになった。その後、“時々、気分が落ち込んだり、眠れない夜も有ります”と述べた。このため夕方5時に抗うつ剤の増強効果と不眠の改善のためにドパミン効果の有るアモキサピン50mgの投与を開始した。その2週後には気分の波も落ち込みも不眠も無くなった。このため、本人の希望された精神科デイ・ケアに参加する事になり、デイ・ケアのスタッフとの会話での緊張感から生じる冷や汗も徐々に軽減し、知らないメンバーとも自然と話せるようになった。安心したのかデイ・ケア参加は3回のみで退所した。現在では週3~4回、7~9時間アルバイトして、社会復帰を果たした、現在も毎週、面接で会話も弾んでいる。
【考察】
デュロキセチン塩酸塩にアモキサピンに依る増強効果で引きこもりから脱し精神科デイ・ケアで緊張せずに会話出来る自信を得て、見事に社会復帰を果たした症例です。小生を信頼し、毎週面接を受診された結果だと思われます。ご本人に敬意を表します。

セロトニン系抗うつ剤SSRI・SNRIの処方により発症する危険性が高い症状

まずはじめに、セロトニン系抗うつ剤SSRIやSNRIでは効果が不充分で、それほど意欲が向上せずに、積極的になれなかったり、行動的になれないなどの意見や報告が寄せられています。


●高齢者(50~55歳以上):錐体外路症状(手足が勝手に動く・あるいは動けなくなる、手足が震える、動き回る、身体が固くなる)、不安、錯乱、妄想、イライラなど。
●若い女性や未成年者など:精神行動症候群(アクティベーション)(自殺念慮・自殺企図・他害行為、錯乱、不穏)、身体のだるさ、頭痛、吐き気・嘔吐、めまい、眠気など。
●一般の患者さまなど:高齢者ほどではありませんが、不安定な精神状態で受診された状況に処方されると若い女性や未成年者などに準じる症状が発症する場合もあります。

セロトニン系抗うつ剤SSRISNRI以外の当院の処方薬剤は依存性が殆ど無く、安全性、効果・速効性に極めて優れているとの、ご感想を多くの患者さまから頂いております

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