精神科・心療内科の診療の向上を目指して、現在の診療治療方針に到った原点となったのが川崎メンタルクリニックの院長として要請に応じて、実施した市販後および市販前臨床治験の経験と思います。
うつ病評価スケ-ルにはハミルトン・テスト(HAM―D)、モンゴメリー・アズバーグ・テスト(MADRS)などを登録基準とその後の効果判定評価に採用されました。
市販後および市販前臨床治験は現在から16年以上以前から数年にわたり実施し、幸いにも自殺企図などの危険な症状は認められませんでした。
ただし市販後臨床試験としてパキシル処方により、20代前半の若い女性が精神的に不穏な状態(精神行動症候群)が続き、終始、携帯電話による対話は欠かせず、臨床試験の危険性と登録患者さまに24時間、慎重で細心に対応にあたる必要性を痛感させられました。
また、もう一人の患者さまは毎週定期受診心理状態評価テストに受診されず、携帯電話でも全く連絡が取れず、私が診療時間中でありましたので、臨床治験コ-ディネ-タ-と製薬会社のMRとで横浜市の鶴見区まで在宅確認に訪れ、生存を確認し事、無きを得たことが強い印象として残っております。臨床試験中は治験コ-ディネ-タ-と登録患者さまについて24時間連絡を取り合わなければならない状態で、まるで以前の胸部心臓血管外科医の頃に集中治療室(ICU/CCU)との緊密な連絡関係に戻ったような日々でした。