急性発症は、治療に対し良好な経過と関連しているという統計が報告されており、発症が突発性であればあるほど、経過もより良好であると考えられています。したがって、突発性発症(48時間以内)に該当する場合にはより詳しく関連する急性ストレス因子なを特定することが望ましいと思われます。
しかしながら、急性一過性精神病性障害のかなりの症例ではストレス因子とは関連なく発症するという報告も限られてはいるがあるので、ストレス因子については、その有無を正確に把握することが重要です。
典型的なストレス因子は死別・配偶者を失うこと・職を不意に失うこと・結婚・テロおよび暴力による心理的外傷などと推定されます。
長期間続く苦悩や困難は、この場合のストレス因子とは思われません。
通常は2~3ヵ月以内、しばしば数週間あるいは数日以内に薬物治療により完全に回復し、これらの障害に罹患した患者さまの中で持続的に能力の低下した状態に陥る症例は極めてわずかです。
残念なことに、早急な回復を望めないわずかな患者さまを早期に予見することは、現在のところ不可能です。
48時間以内および2週間以内という診断基準についての重要な点は、これらの障害が最も重症になった時間ではなく、精神病性の症状が明らかになり、少なくとも日常生活や仕事上の場面に何らかの支障が出てきた時間として考えられていることです。
いずれの場合も、その後に障害の極期へと増悪しますが、通常患者さま自身か家族あるいは会社の方と何らかの援助機関や医療機関と接触をもつようになるという意味で、症状や障害が治療に適切な時期までに明らかになれば安全な治療の繋がると考えられています。