最初に、セロトニン系抗うつ薬SSRIやSNRI・および他の抗うつ薬では効果発現までに数周単位の時間がかかり(蓄積作用により効果発現するため)、効果が不充分で、意欲が向上せずに、積極的になれなかったり、行動的になれないなどの意見や報告が寄せられています。
その原因の第一は目標とする到達点が.今まで出来ていた安定した日常生活や社会生活(仕事や学業やアルバイトなど)の能率が低下したり、出来なくなったりした状況で以前のように活動を出来ることを目指していることです。
しかし,現実的には半年から一年半の間,治療を要しても期待に反して、60%から80%くらいしか気力や判断力や集中力が回復されない、依存性が強く、離脱症状を伴い、身体のだるさ、眠気、吐き気などが残存しているとの訴えなども寄せられているのが現状と思われます。
一方で業務や役割の内容は、日々、複雑に進化しており、休職からの復職や日常社会生活での役割への復帰などの場合には、今までの抗うつ薬で回復された状態以上の新しい事態への関心や判断力や集中力や対応能力ならびに創造力などまでを期待されます。このため思うように業務や役割に対応出来ずに、意に反して、最終的には退職したり、役割から身を引かざるを得ない場合もあるように思われます。
このため、治療効果の最終目標を今まで出来たこと以上に期待出来て、恐怖や不安や緊張や予期不安の解消、新しい事態への関心・新しい事態への挑戦で失敗しても再挑戦の意欲を失わない・興味・喜び・意欲・生きがいの向上などに引き上げられる治療効果を有する薬剤処方が望まれます。
従来の抗うつ薬以上のこれらの効果を期待するためには、ドパミン効果主体の作用を有する抗精神病薬と副作用を抑える薬剤および補助薬剤の併用処方は、依存性が殆ど見られず(抗うつ薬と異なり蓄積作用が無いため)、安全性や効果や速効性(数日単位)に優れていますので、現在の当院の診療ではこれらの処方が望ましいと判断するに至りました。
現在の外来診療では、この薬剤処方治療により良好な効果があったと、患者さまから、多くのご感想を頂き始めております。
ただし、医師として患者さまに予期出来る副作用を充分に説明申し上げ納得して頂き、治療にあたっております。しかし、予想外の副作用をおっしゃる患者さまも、いらっしゃるので今後も副作用対策に慎重で細心の注意を払い、より副作用が少なく、患者さまの安全性を最優先とした治療の検討を行い続けてまいります。