うつ病・うつ状態で休職される患者さまに大切なこと
うつ病・うつ状態で休職される患者さまに大切なこと
最近の多くの会社では、うつ病・うつ状態で休職するのは、通常、診断書に「定期的外来加療ならびに約1ヶ月から3ヶ月の休職」が必要と判断致します。との文書で休職、出来る場合が多いです。
最初の1~2週間は温泉に行かれても、故郷に帰られて厳しい会社の現場を離れてゆっくりされるのも宜しいでしょう。
さて、それからが患者さまにも主治医にとっても復職へのチャレンジです。
会社では、特に公務員、教職の方は毎月一回しか開かれない復職審査会議で十数人の産業医、人事担当 などの復職審査を合格しなければ、翌月の審査会議に先送りされます。
さらに産業医によってはリワ-ク・デイケアに3ヶ月通所しないと復職出来ないと主張される先生もいらっしゃいます。(リワ-クとは復職:Return to Work)
患者さまの中には初診から1,2回受診されて、3ヶ月ぶりに受診されて、故郷でも治療を受けられずに復職可能の診断書と傷病手当金の書類を請求される方がいらっしゃいます。3ヶ月もご本人の症状や状態も分からないので、復職可能かどうかも、受診されてない月に就労困難であったかも分かりませんので、どちらもお断りせざるを得ません。
何故なら、症状が安定して過ごせられたのは故郷だからであって、東京や川崎の職場でうつ状態になられたので、治療も受けずにそのまま復職されたら、また受診時の状態が再燃してしまう可能性が大きいからです。
うつ状態で休職される場合、自宅に引きこもっていると、“私は弱い人間だ”“休んでいる私を会社の人はどう思っているんだろう”“私が居なくても会社はうまくいっている。私は会社に必要のない人間だ”などとマイナス思考に陥り生活リズムも不規則になりがちです。
だからこそ、休職された場合には気力・体力ともに低下していることが多いので、日常生活を規則的に積み重ねて送ることが大切です。早寝・早起きの習慣を身に付け、通勤練習を毎日欠かさず、出社時間に出社時と同様の電車・バスに乗り、会社の最寄り駅からUタ-ンをして午前・午後に分けて散歩、ウォ-キング、ジョギング、スポ-ツ・ジム など少しずつ幅を広げ、気力・体力を養い、図書館、映画、美術館などでゆったりと過ごし穏やかな思いを持ち、夕方、自宅に帰るという毎日を月曜日から金曜日まで続けます。たまには温泉などでリラックスの日々も取り入れてください。土曜日・日曜日は好きな趣味などにあててください。通勤練習はとても大切な復職に向けての訓練です。
気力・体力ともに回復しても、いざ復職の日を迎えると、洋服を着た途端、駅に行く途中で色々な思いがよぎり、不安が高まり自宅に戻り出勤出来ない方がとても多いからです。普段から復職時の不安を無くすためには通勤練習がとても有効です。
もちろん、毎週一回の外来定期受診をされて、うつ状態の改善度をお話して、今後の復職へのご相談も致しましょう。3ヶ月以内に復職出来た方は著明な改善です。
それでも再発防止のため一年半は治療を続けましょう。復職が少々遅れても、しっかりと治療を受けて治して復職を果たしましょう。私も全力で治療にあたります。